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コンセプト・デザイナーの声

コンセプト

原爆投下後3日で運行を再開した広島の路面電車。復興への活力と平和な未来への希望をもたらした、広島市民にはなじみ深い停留所を、木と緑でつくりました。待つ間にほっと一息つけるような、小さな学びがあるような、ヒロシマのストーリーとメッセージを感じるような、人や生き物のやさしい止まり木になれれば幸いです。

デザイナーの声

はじめに...

全国都市緑化フェアに出品することで、弊社は「都市」を「緑化」することがなぜ必要なのかという基本に立ち帰り、作品のテーマを考えました。
 
都市緑化フェアは昭和58年(1983年)から毎年、全国各地で開催されている花と緑の祭典です。なぜ国や地方行政団体が主導し、多額の費用をかけてまで、花と緑がもたらす環境を啓蒙するイベントを実施するのか。なぜそのイベントが40年近く国民に支持され、圧倒的な集客力を誇っているのか。その「なぜ」に対する答えを、探し、考え、私たち造園業が社会に何を提供できて、未来の環境へ貢献できるのかという視点で作った作品です。
 
見た目に美しく、人の心に潤いと憩いをもたらすというだけではない、都市における緑の大切な役割を伝えたい。近年敬遠されてさえいる街路樹の機能を正しく理解してもらいたい。そんなコンセプトで作り込んだので、夢のあるワクワクするような庭というより、すぐにでも実現可能で、緑や花の持つ機能を具体的に体感でき、未来のインフラのモデルケースとして、行政団体や民間企業に提案できる作品に仕上げました。会場でぜひご覧ください。

メインテーマ

インフラ設備を緑化することにより、近年社会問題になりつつある夏季の猛暑対策を行う。誰もが使う、公共性の高い場所で緑化による遮断対策を行うことで、熱中症・不快指数を軽減し、人々に憩いの場を提供する。
 
 
 

作品に込めた思い

①インフラガーデン
 メインテーマの通りです。
 
②広島らしさ(広島市の歴史・文化・県木・県花・地形など)
 広島らしさということで広島市の花である「キョウチクトウ」、広島県の木である「モミジ」を植栽しました。どちらも一般的な品種ではなく、斑入りのキョウチクトウ、枝自体が赤く珍しいサンゴカクというモミジを植えています。また、広島市は被爆地です。その重い歴史を後世に伝え、恒久の平和、そして昨今増加した大災害による被災地復興の願いをこめて、被爆3日後に運行を再開し、広島市民に復興への希望を与えた路面電車をモチーフにしました。そのモチーフを表現するバックグラウンドには、広島市に流れる6本の河川を忠実に再現。グーグルマップで実際に河川の流れを確認してみてはいかがでしょう。
 
③学び・知育の要素
 主な樹木や草本類(ソウホンルイとよみます)にQRコードを取り付け、スマートフォンで読み取りをすることで、その植物の名前やエピソードが解るようにしました。電車やバスを待つ間が、学びの時間になればという思いです。木本(モクホン)や草本(ソウホン)などの造園業界ならではの呼び方も覚えていただけると嬉しいです。
 
④猛暑対策
 造園業が今の時代に、緑化で具体的に社会に貢献でき、多くの人の癒しになり得ることは何だろうと考えた答えです。公共性の高い施設で、景観性と遮熱性に優れた資材である自然植物を、できるだけ剪定や清掃などのメンテナンスコストとイニシャルコストがかからない方法で実現するにはと検討し、簡易壁面緑化とクロチクを使用した屋根材を採用しました。植物の持つ蒸散作用と、自然資材の柔らかな遮断効果で、気温調整を行い、目にも涼しい猛暑対策を提案しました。
 
⑤公共性・日常性
 植物や緑化に興味のない人でも、毎日必ず目にする風景、誰もが使う公共性の高い場所で、緑化の恩恵を受けることが、無理なく自然に環境保護と植物への理解、ひいては造園業への興味と理解へつながるのではないかと常に考えております。したがって、個人の住宅やたまにしか来訪しない特別な施設の緑化ではなく、電停やバス停という公共性と日常性を兼ね備えた施設の緑化にこだわりました。
 
⑥温故知新
 施工資材には、広島市内の路面電車軌道敷で実際に使用されている板石やレールを使用しています。また、電車の駅名を表示する停名板(テイメイバンと読むそうです)も、実際の停名板データを頂き、作成したものです。これらの貴重な資材は「広島電鉄㈱」様の全面協力により実現しました。古い時代に作られた資材は、質実剛健で丁寧なつくりものが多く、それは現代・未来のモノづくりへの姿勢として、ひとつの指針となるように思えます。古い伝統的な技術の継承が不可欠な造園業において、温故知新は欠かせないフィロソフィーなので、作品にもその思いを込めました。
 
⑦緑(樹木)の機能性
 この緑(樹木)の機能性については、作品への思いというよりは、これからの未来に向けて、いかに緑(樹木)が大切なのか、重要な役目を担っているのか、緑に携わる専門家として、ぜひ皆様にお伝えしておきたいと思います。長文になり、大変申し訳ありませんが、よろしければ読んでみてください。
 
一般的に認知されている樹木の機能は、概ね以下の3点だと思います。
 
★光合成による酸素の生成
★緑陰効果による日射しの軽減
★景観の向上
 
義務教育で習ったり、実際に目視・体感できるので、多くの人に知られています。しかし、この3点以外にも樹木には、一般の方には知られていない多くの重要な機能があります。それらの機能は以下の通りです。その機能の多くは、都市部で植栽されてこそ有効性を発揮するものが少なくありません。
 
★道路からの粉塵・騒音の抑制
 空気中に漂っているホコリや車の排気ガスから出る窒素酸化物(光化学スモッグや酸性雨の原因になるアレです)や二酸化炭素を葉や幹で吸着して、雨とともに流します。また、密着した葉が騒音を吸収しています。
 
★気温の調整
 緑陰で道路が太陽光で熱せられるのを抑え、周囲の気温の上昇を抑制します。また、葉中の水分が蒸発することで打ち水をした時のように周囲の気温を下げます。この蒸散作用によって、構造物で遮蔽した場合と緑化で遮蔽した場合との、涼感の違いが生まれるのです。
 
★防災機能
 樹木は、その中に多くの水分を蓄えているので、災害時には火災が広がるのを防ぐ働きがあります。「防火樹」と呼ばれる樹木もあります。東京都のイチョウ並木が、東京大空襲で延焼した市街地の惨状を繰り返さないために植樹されたのは、有名なのエピソードです。
 
★生物のすみか・通り道(コリドー機能)
 街路樹と土壌は、様々な生き物の食べ物やすみかになります。また、鳥や虫が公園などの緑地へ移動するときの通り道(コリドー)にもなります。この機能はあまり知られていませんが、都市に緑が必要な最大の理由です。地球は好気性バクテリア(酸素を好むバクテリア)の発生と多様化で、人類にとって住みやすい星に発展した稀な惑星です。そのおかげで酸素が豊富で水があり、適度な気温が保たれ、人類が住むことができるのです。少し乱暴な言い方になりますが、バクテリアのおかげで、人類は地球に住めているのです。そして、地球環境を変えることができるのは、生物、つまりバクテリアだけです。そのバクテリアはコンクリートでは生存ができません。また、生物は様々な他の種と交流することで、環境に適応した種に発展していきますが、交流する場所(コリドー)がなければ発展はありません。都市緑化(街路樹)は、単に景観の向上だけではなく、生物学的に必要な施策なのだと感じています。この機能は、樹木の大切な役目の一つです。ぜひ覚えて頂ければ幸いです。
 
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